PR

不妊治療回顧㉟ 卒業

【長編】不妊治療体験談

いよいよ最後になるであろうクリニック。その日が来ました。

毎日エンジェルサウンズで心音を確認していますし、何か不測の事態があるという可能性は極めて低いでしょう。

 

 

今日で最後になるのか・・・

  

 

そう思うと感慨深いです。

この場所で、これまで生まれてきて最も大きい喜怒哀楽その全ての感情を経験して、そしてようやくハッピーエンドを迎えることが出来そう。

一生忘れられない悲しい思い出もあるけれど、それもこの卒業のための糧になっているはずです。

 

 

 

最後の長い待ち時間。

今日は駐車場ではなく、待合室で待機することにします。

10冊以上あった不妊治療体験談集を、この日ちょうど最後まで読み切りました。

 

私も、ここに何か書くことになるのかな。何を書こうかな。

 

そう考えていると、診察室に呼ばれました。

 

 

 

 

熊先生『はい、いいですよ。順調ですね。それでは、後ほど。』

 

 

短い診察と、短い言葉。

それ以上は要らない。今、私が一番安心できる言葉を掛けてくれました。

 

  

少し待って、旦那と診察室へ。

熊先生が話し始めました。

 

 

  

 

熊先生『今日で13週ですね。お疲れ様でした。』

 

  

 

熊先生『今日で卒業です。』

 

 

 

 

熊先生『改めて、おめでとうございます

 

 

 

 

ずっと気になっていました。

熊先生はこれまで、おめでとうって絶対言わなかった。採卵で多く取れた時も、胚盤胞まで順調に育った時も、着床し胎嚢が見えた時も、心拍が確認出来た時も。

熊先生は多分、卒業する時に使う言葉と決めているのだろうなと思い、納得しました。

 

 

その後、どこで出産する予定なのかを聞かれ、『では紹介状を出しておきます』という会話を最後に少しだけして、お話はあっさりと終わりました。

受付に居た看護師さんから、母子手帳の事や不妊治療助成金などの申請方法など事務的な説明を受けました。

途中、『卵子は凍結保管しておきますか?』と聞かれ、『はい』と答えました。保管料が掛かり、1年おきに継続意思の確認があるとのことです。

 

 

 

 

 

終わったーーー

 

 

 

クリニックを出ると外は曇り空でしたが、入る前より明るく感じました

色んな事がフラッシュバックしそうになり、色々とこみ上げて来るものがあったので、私は少し深呼吸をしました。

 

旦那も私と同じように息を吸って、少し大きな声で『よし!』と言いました。

 

そして私の肩を2度叩き、『お疲れさま、頑張ったね』と声を掛けてくれました。

 

私は笑って、『うん、頑張った。〇〇君(旦那)もお疲れさま!』と答えました。

 

 

 

私たちの卒業式は、こうして終わりました。

 

 

◆続き

不妊治療回顧㊱ おわりに

コメント

タイトルとURLをコピーしました